大道芸観覧レポート モノクロ・フィルムでつづるkemukemu

大道芸、昔の広告、昔のテレビ番組、中井久夫、フーコー

雪竹太郎 (その1)

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上野公園・夏
雪竹太郎  1


腰に白い布をまき、体に部分的に白いペンキを塗って、
モナリザ」、「ミロのヴィーナス」、「考える人」、「ヴィーナス誕生」、
円盤投げ」「ムンクの叫び」、「ダビデ像」、「弥勒菩薩」など
古今東西の美術品を自らの肉体で再現してみせる「人間美術館」。
一歩ひいていた観客を、その独特の世界に、ぐんぐんとひきこんでいく。
にらみ、すごみ、叫びと微笑、感情の頂点の瞬間をとらえる演技。
まさに「芸術」だと感動していると、
ひょいとその美術品の枠からぬけだし、パントマイムで投げ銭を要求する。
動いてはとまり、とまっては動く、その意外性と変化が、笑いをさそう。

写真は、ロダンの「考える人」とボッティチェルリの「ヴィーナス誕生」。
これだけのポーズをとり、静止できるには、
きたえられた肉体と集中力がなければならない。
腕で下半身をもちあげる彼の「金の鯱(しゃちほこ)」のポーズがそれを証明する。
それにもかかわらず、うしろから見た「ヴィーナス」の体の線は、
たくましい筋肉を感じさせず、やわらかく、妙になまめかしい。