大道芸観覧レポート モノクロ・フィルムでつづるkemukemu

大道芸、昔の広告、昔のテレビ番組、中井久夫、フーコー

ハンナ・アーレント語録

ハンナ・アーレント語録2-了

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「収容所のなかに作られる死の社会こそ、人間を全体的に支配することを可能とする唯一の形式であることがあきらかになる。その後全体的支配を要求する人間がしなければならぬことは、個人の…

ハンナ・アーレント語録2-(22)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「人間の人格のこのような特性に打克つ方法はさまざまあるが、それらを実際に列挙する煩は避けよう。 まず最初は収容所への輸送の際の恐るべき状況である。一輌の家畜用貨車に数百人の赤裸の…

ハンナ・アーレント語録2-(21)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「・・・ローマ人はキリスト教徒が殉教者伝を書くことを許したし、教会は異端者を人間の記憶のなかにとどめた。だからこそすべては保たれ、跡形なく消え去るということはあり得なかったのだ…

ハンナ・アーレント語録2-(20)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「全体的支配への決定的な第一歩は人間の法的人格を殺すことだった。無国籍者の場合この殺害は、彼がすべての現行法の保護を受け入れられなくなることで自動的に完了する。全体的支配のもと…

ハンナ・アーレント語録2-(19)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「 強制収容所および絶滅収容所の本当の恐ろしさは、被収容者がたとい偶然に生き残っているとしても、死んだ人間以上に生者の世界から切離されているーなぜならテロルによって忘却が強いられ…

ハンナ・アーレント語録2-(18)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「強制収容所というものが存在すること、罪のない人々が捕えられていること、人々が跡形なく消え失せることは(*秘密警察の)誰もが知っていた。しかしそれと同時に、この公然の秘密につい…

ハンナ・アーレント語録2-(17)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「全体主義の警察は犯罪を摘発するという任務を持たない。いかなる犯罪がおこなわれ、そして誰がその時点で犯人であるかを決めるのは最高指導者である。そのかわりに警察は住民のなかの特定…

ハンナ・アーレント語録 2-(16)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「 安定した現実のなかでは、そしてすべての人から監視されている世界のなかでは嘘はすぐばれてしまう。嘘がばれないですむのは、全体的支配の状況がすでに広汎に日常生活を蔽ってしまい、プ…

ハンナ・アーレント語録 2-(15)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「 全体的支配機構を史上に知られている多くの国家機構のどれかと比較すると、結局この支配機構の特徴としては無構造性しかないことになる。 この場合人々が忘れているのは、構造を持つのは…

ハンナ・アーレント語録2-(14)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「 全体主義政権が軍ではなく警察を最も信頼できる支柱と見てこれを暴力の本来の根拠地に仕立てるのは、陰謀的な秘密結社と、それと戦うべく組織された秘密警察との間の本質的な類似性に記起…

ハンナ・アーレント語録2-(13)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「ナツィ・ドイツの降伏後、連合国側はドイツ住民の中から一人でも確信的なナツィを探そうと無駄骨を折ったが、このことをドイツ民族の80パーセントまでがかつて一度はナツィの心からの信…

ハンナ・アーレント語録2-(12)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「周知のようにユダヤ人の世界陰謀の作り話は、権力掌握前のナツィのプロパガンダのうちで最大の効果を発揮した嘘となった。反ユダヤ主義は十九世紀以来、デマゴキー的プロパガンダの最も効…

ハンナ・アーレント語録2-(11)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「 大衆がひたすら現実を逃れ虚構の世界を憑かれたように求めるのは、アナーキックな偶然が壊滅的な破局の形で支配するようになったこの世界にいたたまれなくなった彼らの故郷喪失の故である…

ハンナ・アーレント語録2-(10)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「全体主義運動は、言論の自由と立憲的統治という正常な条件のもとで発展する限り、他の諸政党が相手としているのと全く同じ聴衆、すなわち、情報源がまだ制限されていず、暴力で嚇(おど)…

ハンナ・アーレント語録2-(9)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「大衆化した人間に特有の没我性は、この人々にあっては無名性への憧れ、純粋な一機能としての歯車になること、いわゆる<より大いなる全体>に没入することへの憧れとして現れていたーとい…

ハンナ・アーレント語録2-(8)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「階級や集団の清算に必ず先行して行なわれたロシアの粛清裁判は、無構造の「階級なき社会」だけでなくアトム化した大衆社会をも創出するという目的に奉仕している。 このことは技術的には、…

ハンナ・アーレント語録2-(7)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「ヒットラーが崩壊しアトム化しつつある社会の中にまず一つの運動を起すことによって全体的支配を準備したように、スターリンはまずそのような崩壊しアトム化した大衆をつくり出すことによ…

ハンナ・アーレント語録2-(6)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「 しかし全体主義の指導者は単なるデマゴークではないし、彼らの成功がわれわれの不安をかきたてる理由は、彼らがモッブ的本能に訴えるという点にあるのではない。現代の大衆をモッブから区…

ハンナ・アーレント語録2-(5)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「 一般に全体主義運動の性質を、特殊にはその指導者の名声の特質を最も特徴的に示しているのは、それらの運動や指導者が驚くほどすぐに忘れられ、驚くほど容易に他のものに取って替られ得る…

ハンナ・アーレント語録2-(4)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房) 「・・・ソ連における発展、特に1948年―ジダーノフ(*ソ連の政治家でスターリン体制の一翼を担ったが、1948年8月モスクワで急死)の謎に包まれた死と「レニングラード事件」(*レニングラ…

ハンナ・アーレント語録2-(3)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房)から 「今でははっきりしたのは、この体制は決して、「一枚岩的」ではなく、「諸機能を意図的に輻輳させ、重複させ、並置させた構造」を持っていること、このグロテスクなまでに無定形な構造…

ハンナ・アーレント語録2-(2)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房)から 「フルシチョフの驚くべき自白(*1956年2月、ソ連共産党第一書記フルシチョフは、第20回党大会でスターリンの個人崇拝、独裁政治、粛清の事実を公表しスターリン体制を批判した)はーも…

ハンナ・アーレント語録2-(1)

・・・・・ 『全体主義の起原3全体主義』(新装版・みすず書房)から 「『全体主義の起原』の原稿ができあがったのは1949年の秋、ドイツの敗北から四年余の後、スターリンの死に先立つこと四年足らずの時期だった。 初版は1951年に出版された。振り返ってみ…

ハンナ・アーレント語録(イェルサレム了)

・・・・・ 『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房)から 「 検証し得る事実と個人的責任とから逃げ出すもう一つの手は、非特定的で抽象的な仮説ー時代精神からエディプス・コンプレックスにいたるまでのーにもとづく無数の理論を引っぱり出すことだ。 …

ハンナ・アーレント語録(42)

・・ 映画「ハンナ・アーレント」の主人公 http://www.cetera.co.jp/h_arendt/keyword.html 『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房)から 「 無思想性と悪とのこの奇妙な相互連関を検討することよりも一見複雑のように見えるが、実はそれよりはるかに単…

ハンナ・アーレント語録(41)

・・ 映画「ハンナ・アーレント」の主人公 http://www.cetera.co.jp/h_arendt/keyword.html 『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房)から 「ユダヤ人指導者たちの役割が裁判で問題なった以上、そして私もそれについて報告し論評した以上、この問題も俎上…

ハンナ・アーレント語録(40)

・・ 映画「ハンナ・アーレント」の主人公 http://www.cetera.co.jp/h_arendt/keyword.html 『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房)から 「アイヒマンという人物の厄介なところはまさに、実に多くの人々が彼に似ていたし、しかもその多くの者が倒錯して…

ハンナ・アーレント語録(39)

・・ 映画「ハンナ・アーレント」の主人公 http://www.cetera.co.jp/h_arendt/keyword.html 『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房)から 「ユダヤ民族に対する罪は何よりもまず人類に対する罪であるという議論ー国際法廷についての説得力の提案はこれに…

ハンナ・アーレント語録(38)

・・ 映画「ハンナ・アーレント」の主人公 http://www.cetera.co.jp/h_arendt/keyword.html 『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房)から 「 1935年のニュールンベルク法は、ドイツがユダヤ人少数者に対して以前からおこなっていた差別を合法化した。 国…

ハンナ・アーレント語録(37)

・・ 映画「ハンナ・アーレント」の主人公 http://www.cetera.co.jp/h_arendt/keyword.html 『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房)から 「つまり被告(*アイヒマン)は正当に逮捕され、イスラエルに引渡されたのではなかった。それどころか、彼を裁き…