大道芸観覧レポート モノクロ・フィルムでつづるkemukemu

大道芸、昔の広告、昔のテレビ番組、中井久夫、フーコー

2016-01-01から1年間の記事一覧

戦争とストレス 特別番外編

ここで、突然、番外編! <昔の精神科医の言葉から> ●「精神病理学的諸現象の現象学的考察に際して特に重要なことは、決してひとつの孤立した現象に眼を奪われないということです。現象というものはいつも自我とか背景の上に生じるものです。別の言い方をす…

「戦争とストレス」語録 13

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~12 (デーヴ・グロスマン著) 「 殺人の恍惚に酔いしれているなら別だが、少し距離をおくほうが破壊は簡単になる。1フィート離れるごとに現実感は薄れてゆく。距離が膨大になると想像力は弱まり、ついに…

「戦争とストレス」語録 12

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~11 (デーヴ・グロスマン著) 「 すでに数々の研究で結論づけられているように、戦闘中の人間はたいていイデオロギーや憎しみや恐怖によって戦うのではない。そうではなくて(1)戦友への気遣い、(2…

「戦争とストレス」語録 11

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~10 (デーヴ・グロスマン著) 「 戦闘中の兵士は悲劇的ジレンマにとらわれている。殺人への抵抗感を克服して敵の兵士を接近戦で殺せば、死ぬまで血の罪悪感を背負いこむことになり、殺さないことを選択…

「戦争とストレス」語録 10

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~9 (デーヴ・グロスマン著) 「 恐怖と疲憊(ひはい)の向こうには凄惨な世界が広がっている。その世界は兵士を取り巻き、五感に襲いかかってくる。 負傷者や死にゆく者の哀れな悲鳴が聞こえる。糞尿…

「戦争とストレス」語録 9

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~8 (デーヴ・グロスマン著) 「 戦闘で兵士がこうむる精神的損傷には、奥深くに隠された原因がある。むき出しの攻撃的対決にたいする抵抗感、それが死や負傷への恐怖とあいまって、戦場のトラウマとス…

「戦争とストレス」語録 8

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~7 (デーヴ・グロスマン著) (前回からのつづき) 「・-妄想および強迫状態 転換ヒステリーと症状は同様だが、この状態の兵士は自分の症状が病的であること、その根本原因が恐怖であることを認識し…

「戦争とストレス」語録 7

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~6 (デーヴ・グロスマン著) 「 リチャード・ゲイブリエルの「もう英雄は要らない」では、精神的戦闘被害のさまざまな症状や発現例が歴史的に検討されている。ゲイブリエルがあげているのは、疲労症状…

「戦争とストレス」語録 6

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~5 (デーヴ・グロスマン著) 「・・・ホームズの記録しているあるベトナム帰還兵によれば、彼とともに戦った海兵隊員たちは、戦闘のあとにある悟りに達していたという。 「自分たちが殺した若いベトナ…

「戦争とストレス」語録 5

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~4 (デーヴ・グロスマン著) 「 ダイアもまたこの問題を真剣にとりあげ、理解を深めていった。彼の調査に応じた人々がよく知っていたこと、そしてダイア自身も理解していたのはこういうことだー 「人…

「戦争とストレス」語録 4

・・ その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~3 (デーヴ・グロスマン著) 「 敵の頭上高く発砲する、進んで発砲する者の手助けをする(装填を引き受けるなど)。このふたつのほかに選択肢はもうひとつある。デュピクはこのことをよく理解していた…

「戦争とストレス」語録 3

その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~2 (デーヴ・グロスマン著) 「 言うまでもなく、マスケット銃(*砲身や銃身の先端側の銃砲口から砲弾や銃弾、装薬を装てんする方式の歩兵銃)やライフル銃(*兵士が個人用に使うための軍用銃)を撃つと…

「戦争とストレス」語録 2(番外編)

突然、番外編! 『ベトナム戦争神経症』(1978年、フィグレー編)の第2章「戦闘ストレスの精神力動」P65に、次のような記載がある。 「外傷性戦争神経症 ・・・・・ カーディナー(1959)の記載した外傷性神経症は、破局的な夢、過敏(大きな音に敏感になっ…

「戦争とストレス」語録 1

「戦争とストレス」語録 その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~1 (デーヴ・グロスマン著) 「心に痛手を受ける体験をしたとき、それをだれにも話さずにいると深く傷つくことになりやすい。人に話すことは、自分の体験を客観的に眺めるのに役立…

中井久夫語録(戦争)了

中井久夫(1934年生) 「戦争と平和 ある観察」(2005) *『樹をみつめて』みすず書房(2006) または『戦争と平和 ある観察』人文書院(2015)から 「 一般に、敗戦国では戦後を否認する者と戦後を受容する者とにわかれる。第一次大戦後のドイツでは否認す…

中井久夫語録(戦争)19

中井久夫(1934年生) 「戦争と平和 ある観察」(2005) *『樹をみつめて』みすず書房(2006) または『戦争と平和 ある観察』人文書院(2015)から 「 リデル=ハートは、その『戦略論』において、成功した戦争は少なく、また戦争の後遺症は予想外に永続的…

中井久夫語録(戦争)18

中井久夫(1934年生) 「戦争と平和 ある観察」(2005) *『樹をみつめて』みすず書房(2006) または『戦争と平和 ある観察』人文書院(2015)から 「 一般に、戦闘における死者の大部分は逃走中に生じるが、それは人間の顔に向かって射撃するのは精神的抑…

中井久夫語録(戦争)17

中井久夫(1934年生) 「戦争と平和 ある観察」(2005) *『樹をみつめて』みすず書房(2006) または『戦争と平和 ある観察』人文書院(2015)から 「<人間はいかに戦争人(Homo pugnans)たりうるか> 人間といっても、これは圧倒的に男性であり、女性兵…

中井久夫語録(戦争)16

中井久夫(1934年生) 「戦争と平和 ある観察」(2005) *『樹をみつめて』みすず書房(2006) または『戦争と平和 ある観察』人文書院(2015)から 「 非対称戦争は、(1)価値観の違う軍隊間に起こる戦争である。(2)戦争形式は質的に異なり、敵対者間…

中井久夫語録(戦争)15

中井久夫(1934年生) 「戦争と平和 ある観察」(2005) *『樹をみつめて』みすず書房(2006) または『戦争と平和 ある観察』人文書院(2015)から (前回からのつづき:非対称性戦争) 「(3)戦闘員と非戦闘員とが服装・徴章その他によって識別できるの…

中井久夫語録(戦争)14

中井久夫(1934年生) 「戦争と平和 ある観察」(2005) *『樹をみつめて』みすず書房(2006) または『戦争と平和 ある観察』人文書院(2015)から 「 日中戦争および20世紀後半の主な戦争に共通の条件は何であろうか。 (1)それは非対称戦争である。…