大道芸観覧レポート モノクロ・フィルムでつづるkemukemu

大道芸、昔の広告、昔のテレビ番組、中井久夫、フーコー

「戦争とストレス」語録 8

・・

その1『戦争における「人殺し」の心理学』から ~7
(デーヴ・グロスマン著)




(前回からのつづき)

「・-妄想および強迫状態

 転換ヒステリーと症状は同様だが、この状態の兵士は自分の症状が病的であること、その根本原因が恐怖であることを認識している。にもかかわらず震え、発汗、どもり、チックなどを抑制することができない。そのために自分の身体症状に対して罪責感を覚え、それを免れるために結局はヒステリー反応に逃避することのなりやすい。


・-性格障害

 強迫的性格ー特定の行動または事物に固着する。妄想傾向ー短気、抑鬱、不安をともない、自分の身に危険が迫っていると感じる場合が多い。分裂傾向ー過敏症および孤立につながる。癲癇性格反応ー周期的な激しい怒りを伴う。極端かつ劇的な信仰に目覚めるのも性格障害のひとつの現れである。いずれも最終的には精神病的人格につながる。ここで生じているのは基本的な人格の変化である。

 以上は、精神的戦闘犠牲者に見られる症状のごく一部である。
ゲイブリエルはこう書いている。
「身体症状を引き起こす心の力は無尽蔵である。いくらでも症状を生み出せるだけでなく、なお悪いことにそれを精神の奥深くに埋め込んでしまうので、表に現れる症状はその下に埋もれた症状の症状に過ぎず、真の原因はさらに奥深く隠されているのだ」。
                            」



「考えれば考えるほど、戦争とは人間が参加しうる最も恐ろしく最もトラウマ的な行為のひとつではないか、と思わずにはいられない。ある程度の期間それに参加すると、98パーセントもの人間が精神に変調をきたす環境、それが戦争なのだ。そして狂気に追い込まれない2パーセントの人間は、戦場に来る前にすでにして正常なのではない、すなわち生まれついての攻撃的社会病質者らしいというのである。」





(つづく)