メモ (1) 五来重
・・
五来重 「踊念仏」
亡霊とことばをかわしうる口寄せ巫女 念仏供養の場
その亡霊をよび出して問答したり、生前に思い残したことを語らしめるのが巫女
巫女の手にもつ手草は笹や薄
よび出した亡霊が憑依したエクスタシー→狂うことで表現
義経:静かのうた念仏によって地獄から救済
口寄せ巫女の語りの演劇化→謡曲「隅田川」
非業の死をとげた亡霊は念仏の声にひかれて出現し、整然の身の上を語って怨念を晴らし救済される
詠唱念仏:哀調をおびて暗い
踊念仏:ナムアミダブツの六字の名号に節をつけた詠唱念仏を
うたいながら踊るもの
風流化として世俗化→詠唱念仏に小歌をのせてうたい踊る
念仏にひかれて亡霊が塚からあらわれる
踊念仏や恋歌は、亡き霊を迎え、そしてこれを送るための暇乞いの歌
→亡き霊をしのぶ 亡き人を偲び恋うるしのび歌
霊をよびだす歌
去りゆく霊への愛惜の情
踊念仏:ゆるい歌念仏で霊を呼び出し、これが憑けば狂ったように踊る
念仏を合唱することがすべての人の往生をたしかにする方法
新しい死者の霊は祟りやすい荒魂(新魂)であるから、これを踊で鎮めながら、
霊魂の世界である他界へはやく送りださなければ、共同体が安全でない
↓
踊念仏:死者の霊を共同体(村)の外へ送り出すという目的をもつ
六歳念仏の白舞(アレグロ調):葬送行進曲
↓
踊念仏や大念仏には、必ず白舞調の「道行囃子」の行列行進を伴う。
その先頭には霊魂の憑依する切子灯籠を立てる。
奥三河の大念仏→新仏の家の庭に入ると「はねこみ」というはげしい跳躍乱舞になり、
鉦と太鼓を踊り打ちする。(「坂東」調)
東国風のはげしい乱舞、蛮声をはりあげて、狂気のように踊った
荒れすさびやすい死霊を、墓や塚に封じ込める呪術
→呪的足踏みをする威嚇的舞踊
六斎念仏:鎮魂曲(レクイエム)
葬式:荒魂としての死霊を鎮め、送り、封じ込めて共同体へもどって人々をおびやかさないようにする。
盆・彼岸:供養をうけ村へもどった霊魂を鎮め、送り、封じ込める
「四遍」:鎮魂曲 「白舞」:送魂曲 「坂東」:封魂
空也念仏の鉦鼓→雅楽からきたもの
踊念仏の太鼓←
鎮魂の呪具である覆槽(うけ・桶)や田楽の太鼓
瓢箪:日本固有の鎮魂の楽器
鎮魂の神楽では古くから「ひさご」を採物とする舞があった。
ひさご:鎮魂の舞の採物、中空になった魂の容器、瓢箪
魂を封じ込めて、撥で打つことによって鎮魂→鎮魂舞踊の楽器
太鼓と瓢箪が踊念仏の楽器にもちいられるのは踊念仏が鎮魂舞踊だか
ら。鉢、壷なども
御霊祭の仏教化→踊念仏
念仏:疫神や怨霊を鎮め送り出す呪文として、民衆に受容された
足踏を主体とする乱舞:悪霊をはらうもっとも原始的な呪術
「だだ」 陰陽道や修験道では「反閇」(へんぱい)
空也の踊念仏に散楽や田楽の徒が加わった→太鼓や瓢箪、ささらの導入
神楽;鎮魂を目的とした宗教芸能
田楽:農耕をさまたげる悪霊を鎮める鎮魂呪術から出発
御霊会におこなわれた田楽踊が、呪的乱舞としての鎮魂の目的をもったから、
念仏と結合して踊念仏になった。
大念仏を興行するについて、そこに供養さるべき亡霊の「語り物」が
あり、「語り物」が芝居化して追善興行→踊念仏が地芝居化
踊念仏は元来民間共同体の共同祈願から出発するもの
疫病や災害の原因は非業の死をとげたり、子孫や共同体によって祀られ
ない後霊(怨霊)のしわざとするのが原始社会からの宗教観念
↓平安時代
御霊会 目的:浮遊分散して災害や疫病をもたらす御霊を、何か目じる
しになる花や鉾や灯籠に乗りうつらせてあつめ、
これを宗教儀礼で荒れないように鎮めたうえで、斎場や社に封じ込めるか共同体の外に出す。
御霊の依代となる常磐木が「はな」:その霊の寄るべき先端を「はな」(端)とよんだ。
「ほこ」も先端を意味する「穂木」。
「穂木」(鉾)は巨大化→祇園御霊会の山鉾
「やすらい花」の花傘:踊念仏の場に念仏によって鎮魂さるべき霊魂をあつめるための目じるし。
原型は埋葬の墓に立てられる花籠
傘は、古代葬制のもがりの華かづら
乱舞:空也踊念仏から、現在の大念仏「はねこみ」に一貫してながれた踊念仏の踊り方
はげしい跳躍乱舞:疫神や悪霊、死者の荒魂を攘却する呪術
→住吉踊、阿波踊、かっぽれのような願人坊系の踊念仏にも流れて
いる
遊行の聖;暮露(ぼろ)が大念仏をひろめ、放下(僧)が団扇を背負う踊念仏を伝播
優美なやさしい念仏踊
踊念仏 背に負物を立てることが多い
ヤナギ、シナイ、笹竹や常磐木の枝、または御幣
→もともと、盆の精霊や耕作に害をなす悪霊をこれに依り憑けて、
共同体の外に送り出す依代
放下:笹竹を背負って小歌踊 その拍子をとるため、二本の竹を両手に持って打ち合わせたり、
散楽の品玉のように投げ上げて曲取りをした。(コキリコ)
踊念仏→祝歌をうたう。お宮ばかりでなく、お寺や庄屋、新仏の家におどりこむときに、
社ほめ、寺ほめ、門ほめ、庭ほめ、屋敷ほめ、家ほめ、柱ほめなどの褒め歌をうたう。
←田楽の祝儀歌
剣舞:鬼面をかぶって兼を振り、はげしく反閇を踏んで踊る芸能
修験道系の神楽 念仏と山伏神楽の結合
山伏:山の呪術者で、目に見えない悪霊に対する密教的呪術で鎮
魂し、結界。
呪具として、棒や剣、長刀を振った。
棒振型踊念仏→コキリコ踊
念仏荒れすさぶ霊を鎮める呪力があると信じられた
新仏の回向:新仏の荒魂(新魂)がとかく荒れすさびやすいので、これを鎮めて、他界に去ってもらう
↓
のちには、新魂の苦痛をやわらげ、鎮め、うかばせるための念仏
「走る」:荒々しく舞うこと、足踏しながら舞うこと
足踏:もっとも原始的な呪術
踊手は旅姿・・・手甲、脚絆、草鞋
/携意、願人坊、暮露などの念仏聖、遊行聖、高野聖など、
聖が遊行してきて土地の亡魂のために大念仏会を催し、また村人に踊念仏を教えたことの残存
踊念仏の勧進元
願人坊踊→拍子も芸態も阿波踊りやカッポレと同じ。
踊念仏を多彩にし→変化と演劇性
⇒拏蠅蓮△海寮い砲發匹辰討たお精霊で、供養をうけて踊りながらまたもどってゆく長い旅人
→笠で顔をかくし蓑をつけるのは、死者の一種のユニホーム
生者の影のように死者が寄り添っている(死者との共存)
盆踊り:荒ぶる神を送る「神送り」、精霊送り
神楽:起源的には怨霊や死霊の鎮魂
神楽を伝承する修験者→踊念仏・獅子舞と結合
棒振り:目にみえない霊を塞ぎかつ追い払う呪術
足踏(反閇):悪霊や死霊を鎮魂攘却
庶民→亡霊の祟りへのおそれと戦死者への憐憫の情から
→大念仏に託して供養
疫病の流行を古戦場の亡魂の祟りとして、これを鎮魂攘却するために
→踊念仏
↓
盆に帰ってくる亡魂のための供養踊となっても、棒や剣や長刀などを振る呪術の道具と型は残った。
鎮魂三要素
∥踏みや跳躍、行進のような呪的動作である呪舞
△海瞭虻遒鮓擎姪にする呪文や歌謡
D探僉δ蛋?妨擎未里△觧?訴や道具である呪具
民衆は、横死者の亡霊や御霊の祟りによる災害から箕を守るために、鎮魂の呪術信仰から念仏会に参加
↓
踊念仏の風流化・娯楽化→念仏踊り
小町踊り→出雲の阿国→歌舞伎踊り
→願人坊踊りの小念仏、かっぽれ、住吉踊り、阿波踊り
→娯楽的な盆踊り
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五来重 「踊念仏」
亡霊とことばをかわしうる口寄せ巫女 念仏供養の場
その亡霊をよび出して問答したり、生前に思い残したことを語らしめるのが巫女
巫女の手にもつ手草は笹や薄
よび出した亡霊が憑依したエクスタシー→狂うことで表現
義経:静かのうた念仏によって地獄から救済
口寄せ巫女の語りの演劇化→謡曲「隅田川」
非業の死をとげた亡霊は念仏の声にひかれて出現し、整然の身の上を語って怨念を晴らし救済される
詠唱念仏:哀調をおびて暗い
踊念仏:ナムアミダブツの六字の名号に節をつけた詠唱念仏を
うたいながら踊るもの
風流化として世俗化→詠唱念仏に小歌をのせてうたい踊る
念仏にひかれて亡霊が塚からあらわれる
踊念仏や恋歌は、亡き霊を迎え、そしてこれを送るための暇乞いの歌
→亡き霊をしのぶ 亡き人を偲び恋うるしのび歌
霊をよびだす歌
去りゆく霊への愛惜の情
踊念仏:ゆるい歌念仏で霊を呼び出し、これが憑けば狂ったように踊る
念仏を合唱することがすべての人の往生をたしかにする方法
新しい死者の霊は祟りやすい荒魂(新魂)であるから、これを踊で鎮めながら、
霊魂の世界である他界へはやく送りださなければ、共同体が安全でない
↓
踊念仏:死者の霊を共同体(村)の外へ送り出すという目的をもつ
六歳念仏の白舞(アレグロ調):葬送行進曲
↓
踊念仏や大念仏には、必ず白舞調の「道行囃子」の行列行進を伴う。
その先頭には霊魂の憑依する切子灯籠を立てる。
奥三河の大念仏→新仏の家の庭に入ると「はねこみ」というはげしい跳躍乱舞になり、
鉦と太鼓を踊り打ちする。(「坂東」調)
東国風のはげしい乱舞、蛮声をはりあげて、狂気のように踊った
荒れすさびやすい死霊を、墓や塚に封じ込める呪術
→呪的足踏みをする威嚇的舞踊
六斎念仏:鎮魂曲(レクイエム)
葬式:荒魂としての死霊を鎮め、送り、封じ込めて共同体へもどって人々をおびやかさないようにする。
盆・彼岸:供養をうけ村へもどった霊魂を鎮め、送り、封じ込める
「四遍」:鎮魂曲 「白舞」:送魂曲 「坂東」:封魂
空也念仏の鉦鼓→雅楽からきたもの
踊念仏の太鼓←
鎮魂の呪具である覆槽(うけ・桶)や田楽の太鼓
瓢箪:日本固有の鎮魂の楽器
鎮魂の神楽では古くから「ひさご」を採物とする舞があった。
ひさご:鎮魂の舞の採物、中空になった魂の容器、瓢箪
魂を封じ込めて、撥で打つことによって鎮魂→鎮魂舞踊の楽器
太鼓と瓢箪が踊念仏の楽器にもちいられるのは踊念仏が鎮魂舞踊だか
ら。鉢、壷なども
御霊祭の仏教化→踊念仏
念仏:疫神や怨霊を鎮め送り出す呪文として、民衆に受容された
足踏を主体とする乱舞:悪霊をはらうもっとも原始的な呪術
「だだ」 陰陽道や修験道では「反閇」(へんぱい)
空也の踊念仏に散楽や田楽の徒が加わった→太鼓や瓢箪、ささらの導入
神楽;鎮魂を目的とした宗教芸能
田楽:農耕をさまたげる悪霊を鎮める鎮魂呪術から出発
御霊会におこなわれた田楽踊が、呪的乱舞としての鎮魂の目的をもったから、
念仏と結合して踊念仏になった。
大念仏を興行するについて、そこに供養さるべき亡霊の「語り物」が
あり、「語り物」が芝居化して追善興行→踊念仏が地芝居化
踊念仏は元来民間共同体の共同祈願から出発するもの
疫病や災害の原因は非業の死をとげたり、子孫や共同体によって祀られ
ない後霊(怨霊)のしわざとするのが原始社会からの宗教観念
↓平安時代
御霊会 目的:浮遊分散して災害や疫病をもたらす御霊を、何か目じる
しになる花や鉾や灯籠に乗りうつらせてあつめ、
これを宗教儀礼で荒れないように鎮めたうえで、斎場や社に封じ込めるか共同体の外に出す。
御霊の依代となる常磐木が「はな」:その霊の寄るべき先端を「はな」(端)とよんだ。
「ほこ」も先端を意味する「穂木」。
「穂木」(鉾)は巨大化→祇園御霊会の山鉾
「やすらい花」の花傘:踊念仏の場に念仏によって鎮魂さるべき霊魂をあつめるための目じるし。
原型は埋葬の墓に立てられる花籠
傘は、古代葬制のもがりの華かづら
乱舞:空也踊念仏から、現在の大念仏「はねこみ」に一貫してながれた踊念仏の踊り方
はげしい跳躍乱舞:疫神や悪霊、死者の荒魂を攘却する呪術
→住吉踊、阿波踊、かっぽれのような願人坊系の踊念仏にも流れて
いる
遊行の聖;暮露(ぼろ)が大念仏をひろめ、放下(僧)が団扇を背負う踊念仏を伝播
優美なやさしい念仏踊
踊念仏 背に負物を立てることが多い
ヤナギ、シナイ、笹竹や常磐木の枝、または御幣
→もともと、盆の精霊や耕作に害をなす悪霊をこれに依り憑けて、
共同体の外に送り出す依代
放下:笹竹を背負って小歌踊 その拍子をとるため、二本の竹を両手に持って打ち合わせたり、
散楽の品玉のように投げ上げて曲取りをした。(コキリコ)
踊念仏→祝歌をうたう。お宮ばかりでなく、お寺や庄屋、新仏の家におどりこむときに、
社ほめ、寺ほめ、門ほめ、庭ほめ、屋敷ほめ、家ほめ、柱ほめなどの褒め歌をうたう。
←田楽の祝儀歌
剣舞:鬼面をかぶって兼を振り、はげしく反閇を踏んで踊る芸能
修験道系の神楽 念仏と山伏神楽の結合
山伏:山の呪術者で、目に見えない悪霊に対する密教的呪術で鎮
魂し、結界。
呪具として、棒や剣、長刀を振った。
棒振型踊念仏→コキリコ踊
念仏荒れすさぶ霊を鎮める呪力があると信じられた
新仏の回向:新仏の荒魂(新魂)がとかく荒れすさびやすいので、これを鎮めて、他界に去ってもらう
↓
のちには、新魂の苦痛をやわらげ、鎮め、うかばせるための念仏
「走る」:荒々しく舞うこと、足踏しながら舞うこと
足踏:もっとも原始的な呪術
踊手は旅姿・・・手甲、脚絆、草鞋
/携意、願人坊、暮露などの念仏聖、遊行聖、高野聖など、
聖が遊行してきて土地の亡魂のために大念仏会を催し、また村人に踊念仏を教えたことの残存
踊念仏の勧進元
願人坊踊→拍子も芸態も阿波踊りやカッポレと同じ。
踊念仏を多彩にし→変化と演劇性
⇒拏蠅蓮△海寮い砲發匹辰討たお精霊で、供養をうけて踊りながらまたもどってゆく長い旅人
→笠で顔をかくし蓑をつけるのは、死者の一種のユニホーム
生者の影のように死者が寄り添っている(死者との共存)
盆踊り:荒ぶる神を送る「神送り」、精霊送り
神楽:起源的には怨霊や死霊の鎮魂
神楽を伝承する修験者→踊念仏・獅子舞と結合
棒振り:目にみえない霊を塞ぎかつ追い払う呪術
足踏(反閇):悪霊や死霊を鎮魂攘却
庶民→亡霊の祟りへのおそれと戦死者への憐憫の情から
→大念仏に託して供養
疫病の流行を古戦場の亡魂の祟りとして、これを鎮魂攘却するために
→踊念仏
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盆に帰ってくる亡魂のための供養踊となっても、棒や剣や長刀などを振る呪術の道具と型は残った。
鎮魂三要素
∥踏みや跳躍、行進のような呪的動作である呪舞
△海瞭虻遒鮓擎姪にする呪文や歌謡
D探僉δ蛋?妨擎未里△觧?訴や道具である呪具
民衆は、横死者の亡霊や御霊の祟りによる災害から箕を守るために、鎮魂の呪術信仰から念仏会に参加
↓
踊念仏の風流化・娯楽化→念仏踊り
小町踊り→出雲の阿国→歌舞伎踊り
→願人坊踊りの小念仏、かっぽれ、住吉踊り、阿波踊り
→娯楽的な盆踊り
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