大道芸観覧レポート モノクロ・フィルムでつづるkemukemu

大道芸、昔の広告、昔のテレビ番組、中井久夫、フーコー

「最高の人生の見つけ方」

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最高の人生の見つけ方」(監督:ロブ・ライナー




人は生きる期限や終わりを知ったとき、
どう生きるだろうか。
この映画の原題は「THE BUCKET LIST(棺おけリスト)」。
まさに、このタイトルこそが映画のテーマである。

BUCKET LIST」は死ぬまでにこれだけはしておきたいリストで、
「これまでの人生で、やらなかったこと、知らなかったこと、
足りなかったこと、あきらめていたこと、目を背けていたこと、
忘れていたこと。忘れようとしていたこと」など。
書き出すことによって、これまでの生をふりかえり、
意味のある人生を生きてきたかと自問自答することができる。

末期ガンで余命6ケ月。
残された時間を知ったとき。
人が死を落ち着いた気持ちで迎えることができるかどうかは、
この世でし残したものがあると思っているかどうかにあるといわれる。

棺おけに後悔を持ち込まないために、
この世にし残したことがないように生きる。
そして、最高の人生だったと心の底から微笑むために、
何ができるだろうか。

死と向き合った主人公の二人は、
棺おけリストをもとに、人生の最後に、
支え合いながら、旅に出る。
まるで、ロードムービーのような展開だ。
しかし、ようやく、静かにたどり着いたのは、
ごく身近な家庭であり、家族であり、友人だった。
他者を幸せにする喜びも発見する。

映画には暗さはない。

人生で本当に大切なことは何かを思い起こさせ、
そして、生きる意欲を与えてくれる作品である。
見終わった後、なぜかさわやかな感じが残った。


とりたてて、すぐれた映像シーンというものはないが、
(ピラミッドの頂上での二人ぐらいか)
この「棺おけリスト」という方法を知っただけでも。
この映画を観たかいがあった。

リアルタイムで見たあの「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソン
いい年のとり方をしているなと思う。






実は、私の身近にも末期ガンで亡くなった人がいた。
現実は、この映画の主人公のように、
太っていたり、動きが軽やかになることはなかった。
それだけに、この映画の主人公の姿は、
私はあくまでもイメージととらえている。

残念ながら、日をおうごとにみるみるやせていった。
時には落ちこんだり、またあるときはハイになったり、
イライラしたりもした。
やがて、食べ物ものどに通らなくなるようになった。
余命は知らされ(せ)てはいなかった。
しかし、生きていこうとする意欲は強かった。
最後まで、がんばっていた。
それを支えていたのは、「歌」だったと思う。
車いすや布団の上ですわりながら、
昔なつかしい歌謡曲や童謡などを、ふりしぼるように歌っていた。
自分を元気づけるかのように、
亡くなるぎりぎりまで歌っていた。
ときには、私もいっしょに歌った。
やがて、歌は小さなつぶやきに変わっていった。




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