大道芸観覧レポート モノクロ・フィルムでつづるkemukemu

大道芸、昔の広告、昔のテレビ番組、中井久夫、フーコー

「トイストーリー 3」

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トイストーリー3
(監督:リー・アンクリッチ、製作総指揮:ジョン・ラセター
 
 
 
おもちゃは、ただのモノではない。
おもちゃだって、自然とおなじように生きている。
生きているから、感情もあるし、魂もある。
おもちゃにも、それぞれ個性がある。
せっかく子どもとたちとの出会いや
自分(おもちゃ)を大切にしてほしい。
かけがえのない大切なおもちゃとして存在したい。
どれでもいいどれかというおもちゃにはなりたくない。
子どもにとって汗や匂いのしみついた唯一のおもちゃでありたい。
無視しないでほしい。忘れないでほしい。
置き忘れたら、必死に探してほしい。
いくら大量生産されて、同じおもちゃがあるからといって、
同じものを買えばいいということでは、とてもさびしい。
それを知ったらがっくりするし、とても傷つく。
 
そして、おもちゃ仲間が必ずいる。
だから、おもちゃたちの物語がつくられる。
愛情を受けて大事にされたおもちゃは、仲間のおもちゃを大事にする。
ひとりぽっちにさせない。
仲間だから助け合うし、仲間を見捨てない。
 
それぞれのおもちゃにとって、
遊んだ子どもとの思い出がたくさんある。
子どもにとっても、おもちゃと会話した思い出があるはずだ。
さびしいとき、つらいとき、ちょっぴり退屈なとき・・・
子どもは、おもちゃに向って話しかけたり、遊んだりした。
 
でも、やがて、
遊んでくれた持ち主の子どもが「大人」へ向っていくとき、
忘れ去られるか、見向きもされなくなるときが来る。
いつか、離れていく別れの日がくる。
永遠の絆なんてあるのだろうか。
別れの日は、おもちゃにとっては「定年」だ。
寂しいけど、しかたがない。
それが、子どもの「成長」だから。
おもちゃが、その子どもの小さい頃の記憶と思い出に生きていれば、
それはそれでいい。
 
でも、おもちゃは無視されたり、単なるゴミになるより、
別の大事にしてくれそうな子どもと遊べることは、
とてもうれしい。
遊ばれてこそ、おもちゃが生きてくる。
新しい出会いがある。
それは、おもちゃにとっても、成長である。
自分の「居場所」があることは、うれしい。
 
 
 
この映画は、
小学生以上の子どもから大人まで楽しめるCGアニメの傑作である。
モノに魂を与え、やさしさにあふれ冒険物語の要素をも含んだ
スピーディーな展開に心から楽しめ、
ひさしぶりに、
さわやかな感動の余韻にひたることができた。
 
 
この映画をきっかけに、
販売戦略としての「グッズ」とは別の世界で、
おもちゃなどモノとの出会いを大切にする世界が
広がることを期待したい。
 
 
 
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