独裁者(2)
・・・・・
白いバラ(Die Weiße Rose)は、
第二次世界大戦中のドイツにおいて行われた反ナチ抵抗運動として、
国際的に知られている。
日本では、白バラ、白バラ抵抗運動などとも呼ばれる。
白いバラはミュンヘン大学の学生らで構成されていた。
ハンス・ショルとその妹ゾフィー・ショルを中心に、
他にもクリストフ・プロープスト、ヴィリー・グラーフ、
アレクサンダー・シュモレルの3人の学生、
およびクルト・フーバー教授らが活動に参加していた。
メンバーは、
1942年から1943年にかけて6種類のビラを作成し、
ミュンヘン市内で配布したり、
市内の通りの壁にタールで、
反ナチ・スローガン「自由」「打倒ヒトラー」を書いてまわった。
1943年2月18日、
グループはミュンヘン大学構内でビラを配布しているところを、
ナチス党員である大学職員に発見され、
ゲシュタポにより逮捕された。
ショル兄妹とクリストフは取調べの後、
2月22日民族裁判所で反逆罪で死刑判決を受け、
その日の午後、処刑された。
その後、シュモレル、グラーフとフーバー教授も逮捕され、
4月に死刑判決が下り、シュモレルとフーバー教授は7月に、
グラーフは10月処刑された。
前回、チャップリンの映画「独裁者」(1940)の
最後の演説内容を掲載したので、
あえて、現実にあったドイツの良心による抵抗運動のひとつとして、
「白バラ」のビラ(6種)の内容から以下抜粋した。
*数字はビラが撒かれた順番
(「白バラは散らず」未来社から)
1
何よりも文化民族にとってふさわしからぬことは、
抵抗することもなく、
無責任にして盲目的な衝動に駆りたてられた専制の徒に
「統治」を委ねることである。
現状はまさに、
誠実なドイツ人はみなみずからの政府を恥じているのではないか?
またいったんヴェールがわれわれの目よりおち、
無限に逸脱の歩みをつづける犯罪の
ありとあらゆる残忍が白日にさらされるとき、
われわれと子孫たちが受ける恥辱の量は、
もはやわれわれの何人にも予感できぬまでに大きいのではないか?・・・・
人類をさいなむむちに抗し、
ファシズムおよびそれに類似のあらゆる絶対国家的組織に対して、
力をふるうべきである。
消極的抵抗を開始せよ-抵抗すること-諸君の持ち場を問わず、
この無神の戦争製造機が回転をつづけることを阻止せよ。・・・・
国家自体はけっして目的ではなく、
人類の目的が達せられるための一条件として重要であるにすぎない。・・・
2
国家社会主義と精神的に対決することは、
その相手が非精神的であるがゆえに不可能なことである。
ナチス的世界観を口にすることは虚偽である。
なぜならば、もし世界観ありとすれば、
それを精神的手段により証明し主張せんと努めるべきであるのに-
現実はわれわれにまったく異なった様相を示している。
すでに最初の萌芽において、この運動は隣人間の欺瞞に根ざしていた。・・・・
ポーランド征服以来、この国のユダヤ人はじつに三十万人、
野蛮きわまる方法により虐殺されたという事実である。
ここにおいてわれわれは、人間の尊厳に加えられた世にも恐るべき犯罪、
全人類史に似るものなく並ぶものなき犯罪を見るのである。
ユダヤ人といえども人間である
-ユダヤ人問題に対する立場のいかんを問わぬ
-しかして人間にかかる虐待がなされたのであった。・・・・
なにゆえにドイツ民族は、
これらすべての非道非情のきわみなる犯罪に面して、
かくも無感動であるのか?
それについて重いわずらう者は皆無に近い。
事実はそのまま受けとられ、既定のこととされる。・・・
戦争勃発までは、ドイツ民族の大多数は目をくらまされていた。
国家社会主義はその正体を露呈しなかった。
されど今、真相明らかとなった上は、
ドイツ人各自にとって唯一最高の義務、
しかり、最聖の義務とは、これら野獣を殲滅することにほかならない。
3
「国の福祉は至上の法である」・・・・
われわれの現在の「国家」は、さりながら悪の独裁制である。・・・
なぜ諸君は忍従して、これら暴力行使者が歩一歩と陰に陽に
諸君の権利領域を奪いとり、ついにある日何物も、
まさしく機械化せる一国家企業以外の何物も残らず、
犯罪者と泥酔者に命令されるのみとなるのを待っているのか?
4
ヒトラーの口より出ることばは、ことごとく虚偽である。
彼が平和を唱えるとき、考えているのは戦争であり、
・・・彼の権力は根底において呪われている。
人間はまさしく自由である。・・・・
されどまことの神なくば、悪に対しては無力である。
重傷をこうむれるドイツ精神の回復は、内から達することを求めている。
ただしこの再生には、
ドイツ民族がみずから招いたあらゆる罪の明らかなる認識と、
ヒトラーおよびあまりにも多き共犯者たち、
党員や小物たちなどに対する仮借なき戦いとが、先行すべきものである。
・・・・
われわれは沈黙しない。われわれは諸君のやましき良心である。
5「全ドイツ人に訴う!」
戦争は確実な終末へと向っている。・・・・
ドイツの救済が国家社会主義の勝利と、
良きにつけ悪しきにつけ結ばれているなどと信ずることをやめよ!
犯罪者根性によってドイツの勝利が獲得されることは、
ありえないのである。・・・・
言論の自由、信教の自由、そして犯罪者的暴力国家の恣意から
市民を擁護すること、これが新しきヨーロッパの基礎である。
諸君、抵抗運動を支持せよ、このビラを配布されよ!
6「男子学友諸君! 女子学友諸君!」(最後のビラ)
決戦の日は来た。
ドイツ青年がわが民族のかつて甘受したもっとも侮蔑すべき独裁制に、
決算書をつきつける日なのであるドイツ青年の名において、
われわれはアードルフ・ヒトラーの国家に、人格の自由、
この、ドイツ人にとりもっとも尊き財宝を、返却せよと要請する。
われわれはあわれにも彼の欺瞞により、それを失ったのであった。・・・・
わが民族は国家社会主義によるヨーロッパの奴隷化に抗して、
進軍を開始せんとする
-自由と名誉の新しき信念に身をたぎらせつつ。
・・・・・
白いバラ(Die Weiße Rose)は、
第二次世界大戦中のドイツにおいて行われた反ナチ抵抗運動として、
国際的に知られている。
日本では、白バラ、白バラ抵抗運動などとも呼ばれる。
白いバラはミュンヘン大学の学生らで構成されていた。
ハンス・ショルとその妹ゾフィー・ショルを中心に、
他にもクリストフ・プロープスト、ヴィリー・グラーフ、
アレクサンダー・シュモレルの3人の学生、
およびクルト・フーバー教授らが活動に参加していた。
メンバーは、
1942年から1943年にかけて6種類のビラを作成し、
ミュンヘン市内で配布したり、
市内の通りの壁にタールで、
反ナチ・スローガン「自由」「打倒ヒトラー」を書いてまわった。
1943年2月18日、
グループはミュンヘン大学構内でビラを配布しているところを、
ナチス党員である大学職員に発見され、
ゲシュタポにより逮捕された。
ショル兄妹とクリストフは取調べの後、
2月22日民族裁判所で反逆罪で死刑判決を受け、
その日の午後、処刑された。
その後、シュモレル、グラーフとフーバー教授も逮捕され、
4月に死刑判決が下り、シュモレルとフーバー教授は7月に、
グラーフは10月処刑された。
前回、チャップリンの映画「独裁者」(1940)の
最後の演説内容を掲載したので、
あえて、現実にあったドイツの良心による抵抗運動のひとつとして、
「白バラ」のビラ(6種)の内容から以下抜粋した。
*数字はビラが撒かれた順番
(「白バラは散らず」未来社から)
1
何よりも文化民族にとってふさわしからぬことは、
抵抗することもなく、
無責任にして盲目的な衝動に駆りたてられた専制の徒に
「統治」を委ねることである。
現状はまさに、
誠実なドイツ人はみなみずからの政府を恥じているのではないか?
またいったんヴェールがわれわれの目よりおち、
無限に逸脱の歩みをつづける犯罪の
ありとあらゆる残忍が白日にさらされるとき、
われわれと子孫たちが受ける恥辱の量は、
もはやわれわれの何人にも予感できぬまでに大きいのではないか?・・・・
人類をさいなむむちに抗し、
ファシズムおよびそれに類似のあらゆる絶対国家的組織に対して、
力をふるうべきである。
消極的抵抗を開始せよ-抵抗すること-諸君の持ち場を問わず、
この無神の戦争製造機が回転をつづけることを阻止せよ。・・・・
国家自体はけっして目的ではなく、
人類の目的が達せられるための一条件として重要であるにすぎない。・・・
2
国家社会主義と精神的に対決することは、
その相手が非精神的であるがゆえに不可能なことである。
ナチス的世界観を口にすることは虚偽である。
なぜならば、もし世界観ありとすれば、
それを精神的手段により証明し主張せんと努めるべきであるのに-
現実はわれわれにまったく異なった様相を示している。
すでに最初の萌芽において、この運動は隣人間の欺瞞に根ざしていた。・・・・
ポーランド征服以来、この国のユダヤ人はじつに三十万人、
野蛮きわまる方法により虐殺されたという事実である。
ここにおいてわれわれは、人間の尊厳に加えられた世にも恐るべき犯罪、
全人類史に似るものなく並ぶものなき犯罪を見るのである。
ユダヤ人といえども人間である
-ユダヤ人問題に対する立場のいかんを問わぬ
-しかして人間にかかる虐待がなされたのであった。・・・・
なにゆえにドイツ民族は、
これらすべての非道非情のきわみなる犯罪に面して、
かくも無感動であるのか?
それについて重いわずらう者は皆無に近い。
事実はそのまま受けとられ、既定のこととされる。・・・
戦争勃発までは、ドイツ民族の大多数は目をくらまされていた。
国家社会主義はその正体を露呈しなかった。
されど今、真相明らかとなった上は、
ドイツ人各自にとって唯一最高の義務、
しかり、最聖の義務とは、これら野獣を殲滅することにほかならない。
3
「国の福祉は至上の法である」・・・・
われわれの現在の「国家」は、さりながら悪の独裁制である。・・・
なぜ諸君は忍従して、これら暴力行使者が歩一歩と陰に陽に
諸君の権利領域を奪いとり、ついにある日何物も、
まさしく機械化せる一国家企業以外の何物も残らず、
犯罪者と泥酔者に命令されるのみとなるのを待っているのか?
4
ヒトラーの口より出ることばは、ことごとく虚偽である。
彼が平和を唱えるとき、考えているのは戦争であり、
・・・彼の権力は根底において呪われている。
人間はまさしく自由である。・・・・
されどまことの神なくば、悪に対しては無力である。
重傷をこうむれるドイツ精神の回復は、内から達することを求めている。
ただしこの再生には、
ドイツ民族がみずから招いたあらゆる罪の明らかなる認識と、
ヒトラーおよびあまりにも多き共犯者たち、
党員や小物たちなどに対する仮借なき戦いとが、先行すべきものである。
・・・・
われわれは沈黙しない。われわれは諸君のやましき良心である。
5「全ドイツ人に訴う!」
戦争は確実な終末へと向っている。・・・・
ドイツの救済が国家社会主義の勝利と、
良きにつけ悪しきにつけ結ばれているなどと信ずることをやめよ!
犯罪者根性によってドイツの勝利が獲得されることは、
ありえないのである。・・・・
言論の自由、信教の自由、そして犯罪者的暴力国家の恣意から
市民を擁護すること、これが新しきヨーロッパの基礎である。
諸君、抵抗運動を支持せよ、このビラを配布されよ!
6「男子学友諸君! 女子学友諸君!」(最後のビラ)
決戦の日は来た。
ドイツ青年がわが民族のかつて甘受したもっとも侮蔑すべき独裁制に、
決算書をつきつける日なのであるドイツ青年の名において、
われわれはアードルフ・ヒトラーの国家に、人格の自由、
この、ドイツ人にとりもっとも尊き財宝を、返却せよと要請する。
われわれはあわれにも彼の欺瞞により、それを失ったのであった。・・・・
わが民族は国家社会主義によるヨーロッパの奴隷化に抗して、
進軍を開始せんとする
-自由と名誉の新しき信念に身をたぎらせつつ。
・・・・・